不安障害を認知行動療法で解消する
このページは不安障害と呼ばれる病気と
不安障害を認知行動療法で解消するための方法を紹介します。
不安障害と呼ばれる病気
不安障害は不安を生じる病気をまとめて指します。
何が不安なのか、によって病気の名前が変わってきます。
解りやすくするために正確な診断では無い事を了承ください。
それぞれ認知行動療法も少しアプローチが変わるため、どの病気かということが重要です。
パニック障害
パニック障害は不安が最も純粋な形で現れたものと言われます。
一番不安らしい不安といえます。
パニック障害はパニック発作を繰り返し、パニック発作がいつ起きるかと常に不安になった時に診断されます。
パニック発作を起こせばパニック障害という訳でないところがポイントです。
ではまずパニック発作の診断です。
パニック発作とは10分程度で急激に生じてすぐにおさまる急激な不安です。
以下の10項目のうち4つを満たせばパニック発作と言えます。
①動悸 ②発汗 ③震え ④息切れ ⑤息苦しさ ⑥胸痛 ⑦吐き気 ⑧めまい ⑨気が遠くなる ⑩おかしくなってしまうのではと思う ⑪死んでしまいそうになる ⑫異常な感覚 ⑬冷感や熱感
次にパニック障害の診断です。
①何も無くても突然起きるパニック発作が繰り返される
②パニック発作が起きる心配が続いて、発作が起きそうな事を避ける
このように発作が起きるだけでなく
発作が起きる事が怖くて起きそうなことを避ける頻度が増えるとパニック障害になります。
全般性不安障害
全般性不安障害はいつも不安でしょうがないという病気です。
小さい頃から続く症状である事が多いです。
パニック発作と違って不安はずっと続き、不安だけでなく様々な症状が伴います。
①落ち着かない ②疲れやすい ③集中できない ④いらいら ⑤筋肉の緊張 ⑥眠れない
不安な事があるときはこのような症状は誰でも出ます。
しかし、半年の間に不安が起きている日の方が多く
その不安を自分では制御できないと感じている時、全般性不安障害と診断されます。
強迫性障害
特定の事が気になって不安になる病気です。
汚れたんではないか、鍵を閉め忘れたんではないか、ミスをしたんではないかなど。
他の病気に増して見分けにくい病気なので、診断基準は目安でお願いします。
閉め忘れたのではないかと気になるという強迫観念
気になって手を洗うという強迫行為、のどちらかが強迫性障害では認められます。
強迫観念
①何度も繰り返し思い浮かび、苦痛を伴う ②心配しなくて良い事を心配してしまう
③その考えを無視しようとする ④気にし過ぎだと思いながらもやめられない。
強迫行為
①行動をするように駆り立てられる ②不安の解決のために行動するがやり過ぎる
これらを馬鹿みたいと思いながらやめられず、生活に支障を来せば強迫性障害と診断されます。
社交不安障害
この病気は他人から注目を浴びるのが怖い病気です。
パーティーや発表などであれば正常の人も不安を認めますが
人前で食べる事自体が難しい人もいます。
これも小さい頃から続いている事が多いです。
診断基準は
①他人から注目を浴びる恐怖 ②注目をあびるとほぼ確実に不安になる
③自分で心配し過ぎだと思っている ④注目を浴びる事を避けている
PTSD(心的外傷後ストレス障害)
トラウマなどと言われる病気です。
不安の対象は恐怖を伴った記憶になります。
死にかけたり、レイプにあったりした人の95%は1週間はPTSDを満たすともいわれ正常な人にも起こる反応です。
徐々に記憶は薄れていくのですが6ヶ月以上続けばそれ以降は
自然におさまっていく可能性が低くなるので、治療が必要になります。
診断基準は複雑ですが、
恐怖の出来事のフラッシュバックが起きて、何もかも避けたりボーっとしたりしていつつも、ちょっとした刺激にはびっくりしやすい状態です。
恐怖の出来事
①恐怖な出来事を経験した ②恐怖、無力感を感じた
フラッシュバック
①何度も思い出す ②夢に見る ③実際に起きてるように感じる ④思い出させるきっかけが怖い ⑤思い出させるきっかけがあると症状が出る
避けたり、反応が鈍くなったりする
①関連した話題を避ける ②関連した人や場所を避ける ③事件の一部を思い出せない ④社会活動に参加出来ない ⑤他の人と疎遠になった感じ ⑥感情が持てない ⑦先の事が考えられない
過敏性が高まる
①眠れない ②いらいら ③集中できない ④警戒心が強い ⑤過度に驚く
不安障害の治療はとにかく、回避しないこと
不安というのは正常な反応です。
不安が無ければ日常生活を過ごす事は出来ません。
不安とは正常で必要なもの、です。
不安というのは体からのメッセージです。
将来が心配だから、何とかしてくれ。
そのような時に体からメッセージが出されます。
不安が不安障害になる時
では、どうして不安が不安障害になってしまうのか。
それは不安の性質と関係があります。
不安を感じてもしばらくしたら下がります。
体からのメッセージは将来が心配で不安を出しますが、不安メッセージを出した後、何の対応もされないと
「そんなに気にする事無いんだな」と判断します。
不安が生じて「回避」すれば不安は高まります。
「回避」というのは不安を何とかしようとする事です。
不安を解消しようと色々工夫してきたのに、それが不安の原因だというのか?
やってきた事を逆効果と言われるのは自分を否定された気持ちになってしまいます。
しかし、実際は何とかしようとする事自体こそが不安障害を作り出します。
実際に回避している人が不安障害になる事は事実として医学的に証明されてきています。
不安は体からのメッセージというところからもう一度考えます。
将来が心配というメッセージをだして「回避」されても不安はおさまります。
体は「なんとかしてくれたんだ。」と思うからです。
しかし、回避によって
「これは気にしないといけない事なんだ。」という学習をしてしまいます。
そのため再び不安が生じると
「また、何とかしてくれ。」とより強い不安が生じます。
これが回避によって不安が強まるメカニズムです。
不安障害の治療
不安障害となった不安を解決する方法はもちろんあります。
認知行動療法や薬物療法です。
薬物療法では、過敏になりすぎた脳を落ち着かせる効果があります。
抗うつ薬と同じものが効果がある事が医学的に言われています。
もう一つは認知行動療法です。
方法としては回避によって不安が強まった流れの逆をすれば良いです。
「回避」せずに不安が下がり体に
「回避してないんだから、たいした事無いんだよ」
と学習し直させる必要があります。
言うのは簡単ですがやるのは難しいです。
不安が嫌で回避したのに
さらに大きくなった不安障害の不安を回避せずに向かわなくてはなりません。
いっぺんに不安に向かうと、また回避してしまって逆効果になります。
物事は少しずつ、着実に。
不安が強い事から弱い事を順に書き出し、弱い方から不安に向かいます。
これを「暴露療法」と言います。
弱いものからで良いので、不安が下がるまで「回避」しない事
それによって不安があっても心配はいらないということを体に覚えてもらう事
不安障害の説明と治療法でした。