怖かった記憶がトラウマになるまで
PTSD(心的外傷後ストレス障害)の診断
PTSDでは怖い記憶がトラウマとなり、頭から離れなくなります。
診断について説明します。
①怖いできごとを体験、目撃した
②出来事が何度も生々しく思い出される
③出来事を思い出させるようなことを避ける
④出来事の後から不眠、イライラ、過度におびえるようになる
今回もわかりやすくしているので実際の診断ではないことに注意してください。
怖い体験をして、頭から離れなくなります。
その結果何度も思い出します。
この思い出すは、普通に思い出すだけでなく、本当に起こっているように感じられると言われます。
すると、思い出させるような刺激を避けるようになります。
他の不安と同じ「回避」が起こるわけです。
同じような恐怖が繰り返されることで④のような過度の警戒症状が生じます。
これもPTSDが及ぼす生活への大きな影響の一つです。
PTSDの特徴
怖い体験にあった人全員がPTSDになるわけではありません。
体験の中でレイプが一番PTSDを引き起こしやすいと言われます。
レイプの直後1週間は95%程度PTSDの基準を満たすようです。
しかし3ヶ月程度で半分くらいまで減り、最終的には60%が症状を起こさなくなります。
6ヶ月たっても症状がなくならない場合はその後も続く可能性が高いとのことです。
その意味でPTSDは正常な反応だけど、必要以上に続けば問題となる、というわけです。
PTSDの脳で起きていること
強い感情を伴った経験は「扁桃体」という脳の部位に記憶されます。
感情は大きく分けて4つと言われます【基本的な感情】
通常の記憶であれば海馬で処理されて、徐々に風化していきます。
その記憶を思い出せば、その記憶に対して感情が沸くのが普通です。
振られた時の記憶を思い出してあの時は悲しかったな、と思い出します。
しかし、扁桃体に記憶されたものは感情です。
最初に「怖い」というその時の感情が思い起こされ、つられて事実が思い出されます。
そのため、「怖い」ことは覚えているけれど実際におきた内容ははっきりとはわからない。
ということになりうるわけです。
PTSDの治療方針
感情は強烈です。
普通の記憶であれば、思い出すのは嫌だなという程度です。
しかし、PTSDの記憶は恐怖です。
何とかして思い出さないようにしたくなります。
「回避」したくなるわけです。
その回避をしないようにするための方法が「暴露療法」になります。
PTSDについての説明でした。