ソクラテス式会話になるための条件

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会話のやり方は普通は意識しません。
ソクラテス式会話はいつの間にか
治療的議論、傾聴、誘導尋問になってしまいます。
微妙なバランスのソクラテス式会話を続けるためには。


ソクラテス式会話とは質問を繰り返すことで
相手の理解を促していく対話の方法です。
ソクラテス式会話について説明するためには何とは違うかから説明した方が解りやすくなります。

治療的議論との違い

議論の目的は自分の考えを信じてもらう事です。
自分の考えを説得する事は議論になります。
「薬はしっかり飲んでください」「悩みがあったら認知行動再構成を使ってみてください。」
など、言い方がマイルドであっても、納得させるためであれば治療的議論になります。
この治療的議論をしてはいけない訳ではありません。
関係性が出来て、アドバイスを求められている時は
相手の抵抗がない限り治療的議論の方が効率的
な時もあります。
何か抵抗があった時にこの治療的議論が害になります。

傾聴との違い

傾聴の目的は関係性(ラポール)を深める事です。
傾聴は大切です。
関係性を深めることで、アドバイスも求めてもらえます。
自信が深まり、治療効果もあります。
傾聴でしない事は変化へと導いて行く事です。
ある程度までは傾聴が必要ですが、変化をしてもらう時には非効率的です。
傾聴で自信を深めてもらえば変化を自分からしてもらう事はあります。
むしろ理想的でしょう。
しかし、それまで待ち続けることになってしまいます。
ある程度まで関係性が深まるとそれ以上は進まず、愚痴を聞き続けるパターンになってしまいます。
これは相手の希望に添っているようには見えます。
相談者は変わりたくない受容してほしい気持ちと変わりたい気持ちどちらも持っています。
いつまでも受容だけされていると変わりたい気持ちが解ってもらえないという意識になります。
この時に多いのは途中で質問が出るパターンです。
「一体どうしたら良いですかね。」
ここでアドバイスをすると
「いや、でもそれだったら。」
となってしまいます。
治療者も人間です。アドバイスを求められてしたら否定されれば辛いです。
これをきっかけに、治療的議論に入っていってしまう事もあります。
傾聴だけでは関係性を深まらず、かといってアドバイスすると否定される。
このような時にソクラテス式会話は有効です。

誘導尋問との違い

ソクラテス式会話は質問を繰り返し、相手に変化を促します。
誘導尋問は質問を繰り返し、相手を説得します。
ほとんど同じような感じがします。
違うのは「変化を促す」というのは相手の中にその気持ちもないと出来ない。という事です。
難しいのは先ほどの用に変わりたい気持ちと変わりたくない気持ちは両方あるため
変わりたくない気持ちがあるからといって変わりたい気持ちがないわけではない事です。
つまり変化を求める気持ちがない時に変化させようとする事が誘導尋問という事になります。
誘導尋問は質問を使った治療的議論であり
ソクラテス式対話とは違うという事になります。

ソクラテス式会話の原則

ペースは相談者自身である
これは治療的議論にならないための原則です。
したがって、会話は個人的体験に基づきます。
また、アドバイスではなく相談者の気付きで変化を促します。
変化を目的とする
これは傾聴との違いです。
変化を嫌う気持ちがあっても相談者が変化したいと思う方向に導いていく
言い換えると、高度に指示的な方法ともソクラテス式会話は言えます。
③抵抗がある場合には別の方向から
抵抗があっても矛盾をみつけて、説得に持っていく事は誘導尋問です。
ソクラテス式会話ではそのときは別の方向から進まなくてはなりません。
説得させることが目的ではないです。
しかし、目的とする変化へ近づく事を避けると
②の原則を破る事になります。
必要な事は方向は別であってもたどり着くところは同じところを探す事です。
ソクラテス式会話とは難しいものですね。

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