事件後すぐに内容を詳しく聴きすぎることはPTSDを作り出す

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前回は複雑性のPTSD、CPTSDについて説明しました。

恐怖の対象がはっきりしていないとPTSDの治療である暴露療法は効きにくい

という説明をしました。

今回はPTSDと暴露療法に関するもう一つの注意についてです。

 

 

デブリーフィングとは

 

デブリーフィングとはもともとは軍隊用語で状況報告という意味だそうです。

心理学ではPTSDの治療として早期に暴露する治療として作られました。

災害などがあった後、1週間の間は多くの人にPTSDの

フラッシュバック、刺激を避ける、過敏性が高まる、という症状が認められます。

デブリーフィングとはこの最初の1週間の間に災害の記憶について話してもらう事

PTSDになるのを予防しようと考えられた治療法です。

 

研究結果は PTSDは早期のデブリーフィングで悪化した、ということが解りました。

 

デブリーフィングが何故PTSDを悪化させる事になるか

 

災害後1週間でPTSDのような症状が出るのは正常です。

PTSDというより、記憶の正常な処理過程ということです。

 

この症状が半年以降も残ればPTSDと診断されます。

正常な処理過程であれば、半年程度で終わります。

半年経っても処理されないという事になれば、どこかで記憶の処理に支障を来している可能性が考えられます。

研究でも半年続いたフラッシュバックの症状はその後も消えないと言われています。

 

このように考えるとPTSDの

フラッシュバック、刺激を避ける、過敏性が高まる、という症状がPTSDという病気なのではなく

これらの症状の記憶が処理されない事で残っている事がPTSDという病気である、と考えられます。

 

勘違いしやすいのは

デブリーフィングは人から記憶を引き出される事です。

自分で思い出す事でPTSDが悪化する訳ではありません。

 

災害後に記憶を思い出して、正常な処理がされている時

「デブリーフィングはPTSDを悪化させるんだ、このまま何度も思い出すとPTSDになってしまう。」

と考えて、なるべく思い出さないように抑圧したら

それこそが本物のPTSDをわざと作ってしまう事になります。

 

大切な事は初期の記憶の処理過程において

無理に話そうと意識したり、無理に思い出さないように意識したりせず

自然な処理に任せるという事です。

 

フラッシュバックなどは苦痛の強い症状です。

しかし、「初期の症状は、脳が記憶をどんどん処理しているということだ。」

と理解する事で少し苦痛は和らがないでしょうか。

脳が頑張っている間は落ち着いて様子をみて、急かしたり、邪魔したりはしないようにしてみてください。

 

精神療法の副作用と理論

 

デブリーフィングの理論は最もです。

PTSDの治療として暴露療法がある。

それならば、災害の初期に話してもらう事でPTSDを予防出来るのではないか。

さらに、綺麗な言葉が続きます。

このような体験を人に話して「自分だけではないんだ」と思う事で

自分に自信をもってPTSDに打ち勝つ事が出来ます。

 

このように考えて頑張って、災害の人たちのために頑張っている人

その人に、「あなたがやっている事はPTSDを悪化させているんだよ。」

そう言うことは出来るでしょうか。

しかし、言わなければなりません。

理論がどんなに良いものであっても効果が悪ければ、それは悪化をもたらす治療法です。

残念ながら、人のためにと思ってやったことであっても同じということになります。

 

理論というのは欠かせないものです。

人間の思考の原動力であり、理論無くしてはどんな治療法も生まれません。

しかし、理論的であるからといって正しいという訳では無い事をこころに留める必要があります。

 

エビデンスというと冷たく感じます。

論文を書いている学者が何が解るんだ。

現場で人のために頑張って考えている人こそが正しい。

ドラマなどでは正義とされる考え方です。

 

同時に、テロなどの事件の時

正義の名のもと盲目的になることで悪い結果をもたらす

ことは多いような気がします。

 

私も、人のためになろうとして理論的に考えています。

もしかしたら自分のやっている事は逆に悪い結果をもたらしているのではないか。

そのように考える事は辛い事ではありますが

今後も心に留めつつも治療していかなくてはならないと思います。

 

デブリーフィングと脱線した反省と心がけについての記事でした。

 

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