ABCモデルで思考をコントロールして孔子になる?!
ABCモデルとは
ABCモデルとは人の行動パターンのモデルです。
認知行動療法の創始者ジュディス・ベックと同時期に活躍したアルバート・エリスの考えです。
考え方的に認知行動療法はまだ無い頃の考えですが、認知行動虜法の要素に近く、シンプルで理解もしやすいです。
ABCモデルのABCとは何かというと
Antecedent eventは先行する刺激
Beliefは信念
Consequenceは結果
ということになります。
人間以外の動物はACモデルです。
つまり、「先行する刺激」に反応して、「結果」である行動を起こします。
しかし、人間は「先行する刺激」のと「結果」の間に「信念」が影響を及ぼします。
ABCモデルの例
ではこのABCモデルについて例をあげて説明します。
まずは動物のACモデルを説明し、人間の場合について説明します。
動物の反応
動物は基本的には「先行する刺激」にたいして「結果」を起こします。
Antecedent event → Consequence のACモデルです。
1「お腹がすいた」 → 「えさを食べる」
2「物音がした」→ 「警戒する」
3「チームを組んで狩りをすることになった」 → 「自分の役割をはたす」
単純な反応である1や2だけでなく、複雑な行動である3もACモデルになります。
この反応の利点は判断が早いこと。
野生の動物の世界では必要な能力です。
逆に悪い点としてはいつも同じ反応になってしまうことです。
パターン化されているため、そう簡単には変わりません。
変わる時には自然淘汰の力を借りる必要があり、非常に時間がかかります。
人間の反応
人間はABCモデルを採用しています。
1 「お腹がすいた」 → 「腹がへっては戦はできぬ」 → 「すぐ食べる」
「お腹がすいた」 → 「武士は食わねど高楊枝」 → 「やせ我慢する」
など先行刺激が同じであってもBの信念によって結果が変わります。
この利点は行動パターンを柔軟にできること
逆に悪いところは判断が遅いところになります。
この間に信念があるという人間特有の反応が
自然淘汰によらず、様々な行動パターンをとる上で大きな力になったと考えられます。
ABCモデルのもう一つの意味
実はこのABCモデルにはもう一つの意味があります。
Antecedent eventは先行する刺激は同じ
BeliefはBlankになります
Consequenceは結果は同じです。
人間であってもBがBlankになり表面的にはACモデルに見えることがあります。
以前に説明した【自動思考】と同じメカニズムです。
2「物音がした」 → 「警戒する」
となるところを、人間の場合、このBlankには気づかれないだけであって信念が隠れていますので
2 「物音がした」 → 「泥棒に入られたかもしれない」 → 「警戒する」
となります。これは別のパターン
2 「物音がした」 → 「ネコかな」 → 「安心する」
という結果もとりうる訳です。
最初の反応としてはACモデルで刺激に反応するだけになります。
そのすぐ後の行動としては人間の場合はABCモデルになります。
これは、早い反応の時にACモデルを使えるという意味で利点ですが。
油断をすると自分でBlankに気づかないことで、行動パターンを返られなくなる危険性もあります。
ABCモデルから学ぶこと
ABCモデルではBがBlankとなってしまうことについて説明しました。
では、行動を早く、かつ柔軟にするためにはどうすれば良いでしょうか。
動物と人間のパターンの良いとこどりです。
①自分の信念に気づくこと
まずはBlankに隠れているBeliefeに気づく必要があります。
自分の信念を見つめることで自分がとっている反応を変化させることができます。
②信念を吟味すること
次に必要なことはその信念を採用するか理性的に決めることです。
Blankの状態の信念は理性による評価がされていないので感情的になっていたりします。
この信念を採用するかどうか、立ち止まって考えることが必要です
③信念を選択すること
最後に必要なことは信念を選択することです。
理性によって判断された信念を必要に応じて選択します。
1回ごとの信念は小さいですが、積み重ねることで自分の信念にあった行動が取れるようになります。
一度選択した信念がBlankになれば自然と自分の信念に従って行動できるかもしれません。
それを繰り返せば孔子の言う
七十にして心の欲する所に従って矩(のり)を踰(こ)えず。
に達することもできるかもしれませんがそう簡単にはいかなさそうです。
ABCモデルの説明でした。