医学的な呼吸法:不安をコントロールするための3段階
不安悪化のサイクル
【不安】は「将来に対する心配」と「からだの症状」で悪化のサイクルを作ります。
最初に将来の心配が生じます。
それによって、交感神経の反応が出てきます。
具体的には【パニック障害】の症状です。
どうき、息切れ、呼吸苦、めまい、など様々な症状が出ます。
この症状を脳が感じます。
すると、これほどの症状が出ているのだから、将来はやっぱり不安なんだ。
と判断してしまいます。
思考から症状がつくられ、その症状が思考をさらに強化します。
吊り橋効果
「吊り橋効果」という言葉があります。
これは吊り橋の上で異性と出会うと、吊り橋の上での交感神経の反応によって
その異性を通常よりも魅力的に見てしまうという効果です。
このように、交感神経の反応は思考に強く影響をあたえます。
思考と症状、この二つは密接に結びついています。
呼吸法が悪いサイクルを断ち切る
このサイクルを断ち切る方法が呼吸法です。
交感神経の反応として、様々なものをあげました。
このなかで、呼吸というのは自分で調節することもできる交感神経の反応です。
この性質を利用して自分の脳を「だまし」ます。
つまり、思考に反応して交感神経が反応するのを防ぐために
あえてゆっくり呼吸をして、副交感神経を働かせます。
交感神経と副交感神経の役割は正反対で、一方の働きが強まればもう一方の働きは弱まります。
そのため、呼吸をコントロールすることで交感神経を働かせないことが出来ます。
すると、脳も「あれ、交感神経の反応が無いってことはそんなに心配しなくて良いのかな」と考えるようになます。
この結果、呼吸で交感神経をコントロールすることで、思考も安心させることが出来るということになります。
呼吸法のやり方
では、具体的な呼吸法のやり方について説明します。
ステップ①
腹式呼吸を身につけることが、始めのステップです。
まず、お腹もしくは横隔膜のあたりに意識を集中させます。
呼吸をするたびにお腹のあたりが膨れるのがわかります。
意識するのが難しければ、いい方法があります。
右手をお腹に、左手を胸において下さい。
呼吸するたびに胸においた左手を動かさないようにして
お腹においた右手だけを動かすように呼吸を続けてください。
ステップ②
次の段階は適切な息の量を吸うことです。
多く吸いすぎてはいけません。
息をあえて遅くするすることはしないで下さい。
通常の呼吸の速さで構いません。
具体的には3秒で吸って3秒で吐くスピードです。
鼻で呼吸しても口で呼吸しても構いません。
必要なのは息を吐き出す感じではなく「漏れ出る」ように自然に呼吸をすることです。
ステップ③
呼吸をするたびに数を数えながら「リラックス」を心で唱えます
すって「1」はいて「リラックス」
すって「2」はいて「リラックス」
10まで行ったら1に戻ってください。
ここがむちゃくちゃ難しいところです。
呼吸の間は数とリラックスのこと以外は考えないでください。
おそらく。「1」と数え始めたときから何らかの思考が勝手に出てくると思います。
しかし、これは全く自然なことです。
出てきた思考は巻き込まれて、次々と考えていかないでください。
「思考が流れていくように」して注意を再び呼吸に戻します。
呼吸法を用いるときの注意
この呼吸法は簡単ではありません。
練習が必要です。できれば1日2回ぐらい、1回10分やってみてください。
そして、十分に身につけていないうちは不安な時に使うのではなく
落ち着いている時に練習してください。
出来るようになった後で、不安が生じた時に使ってください。
単純なようでいてこの呼吸法は強力です。
身につけることで、普段は影響されてしまう、思考や交感神経の反応を自分の力でコントロールすることが出来ます。
是非、練習してみてください。